獅子の皮を被った子猫の逃走劇
先輩が私を好き。
そう思った瞬間に涙が溢れた。
「は、ごめ、泣くほど俺の事嫌いか?」
「違うんですう、うれしく、て!」
「なにそれ……」
可愛すぎんだろ、とボソッと吐く先輩。
「先輩、彼女さんいたんじゃないんですか!別れたんですか?」
「彼女?いた事ねえよ」
「うそ!この間相合傘してました美人さんと」
「あれ見られてたのか」
そう言って、折田先輩が丁寧に説明してくれた。
あの日私が見たのは彼女さんでもなく、ただの仲のいい先輩らしい。
怪しがる私に、今電話かけてその先輩にも聞いてみるかとか言い出すから大焦りした。
でも、ということは、あれは全部私の勘違いだったということで。
勝手に勘違いして勝手に避けて、私最悪すぎる。
さっきとは違う意味で羞恥心が湧いて顔が赤くなる。
「お前すぐ顔赤くなるよな、かわいい」
「かわっ……!?先輩そんな事言うキャラじゃなくないですか」
「散々お前に避けられたから。もう逃がさねえようにしてる」
そう言って、ニヤッといつもの笑い方をする先輩。