ヤンキー高校に、やっぱりロクなのは居ませんでした。
晴れの日なら、わたしは校庭の木の下で本を読むことにしている。教室はまだ怖い。
「あら、ガチすみっこぐらし?」
「ひゃあっ、すみません!すぐどけます!!」
金髪の男がいきなり背後からやってきた。
「いやいや、驚かせてごめんね。一応同じクラスの高坂なんだけど…知らないか。まぁ怖くない方の人だから安心して。なんかここで今から決闘があるみたいで、危ないから関係ない生徒は逃げてねって周知してまわってるの。」
校庭に目をやると、後ろに文字が書かれた学ランを着た生徒たちが、円陣みたいなのを組んで何か叫んでいる。
本当にヤンキー高校なんだなあ。
「そうですか、わざわざありがとうございます、では私はこれで」
「あっ、ちょっとまって!」
高坂くんにしゃがみ込まされると、すぐ後ろの裏口から、爆音を撒き散らして大量のバイクがやってきた。
「ごめん、ちょっと注意喚起遅れたかもしんない…」
「ギャー!!!!」
やばい、大きい声出しすぎた。
「おい、何か聞こえなかったか?」
そのヤンキー軍団のひとりが、こっちに近づいてくる。
「どうしよう、気づかれちゃったかも…!!」
「大丈夫大丈夫」
「その余裕はどこから!?」
さっきからこの金髪さんはニコニコしてるばかりでぜんぜん信用できない。
「それはねえ…」
待って。後ろに誰かがいる。
「ようこそ夜仁高へ」


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