アオハル・サーキュレーター




俺はロープを消して、立ち上がった。目の前にいるボクは、やっぱり俺ではなくて、でもどこか懐かしくて。


俺は、ボクにキスをした。


「キミはボクだ」


「ああ、俺はお前だ」


そうして、周りすべてがガラガラと音を立てて、崩れていき、やがて一つの大きくて、深くて、暗い、空間に飛ばされた。


そういえば、この世はこんな風に見えていたっけ。忘れていたこの感覚。目はすっかり黒く戻っているだろうし、髪の毛だって黒く戻っている。


そうそう、この感覚。この感覚を長い時間、忘れていたんだ。


「さて、相棒。楽しく行こうぜ。この嘘ばっかりの物語に終止符を打って、進もうぜ。なあに、怖くないさ。初めて壊した感覚を思い出すんだ。流れる血液。歪む顔。あがる悲鳴。血相を変えた大人たち。静かな個室、何人もの大人が出入りして、去って行った過去。向けられるレンズ。さらけ出される俺の姿。そこには誰一人味方はいなかった。あの頃、誰一人として。そして、ただただ無機質なアルファベットで呼ばれていたあの頃なんかより、ずっと面白くて、ずっと楽しい気持ちで生きて行こうぜ。終わりのその瞬間まで」


渇望する。血沸き肉躍る。飢えた人間はもう助からない。


でも、そんな化け物みたいな衝動は、ある人間にとって、生きる希望になるという矛盾。


抱え、背負って、生きていく。











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