【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
不機嫌さを隠そうともしない冷ややかな声に、ルフィナはゆっくりと顔を上げる。氷のように冷たい青い瞳が、射抜くようにルフィナを見下ろしていた。
「えぇと、あの、中庭に行っていました。ほら、リリベルの花が咲いたから」
「ふん、そんな雑草まがいの花を好むとは。身分の卑しい者の考えることは分からんな」
そう言ってヴァルラムは、ルフィナの腕の中からリリベルの花束を取りあげると床にぽいと放った。小さな花のいくつかが、その衝撃で落ちて床に散らばる。足元に転がってきたそれを、ヴァルラムは無表情のまま真っ黒なブーツで踏み潰した。
「あ」
思わず声をあげてしまうと、ヴァルラムはルフィナをじっと見つめた。観察するような彼の表情を受けて、ルフィナは眉尻を下げて悲しげな表情を作る。
「……酷いです、お兄様」
目に涙を浮かべてみせれば、ヴァルラムは満足したように唇の端を上げた。
彼は、こうしてルフィナを泣かせることを楽しんでいる。ルフィナが傷つけば傷つくほど、彼は愉悦の表情を浮かべるのだ。
「遊んでいる暇があるなら、夜会に向けて支度をしておけ。おまえの取り柄など、その見てくれにしかないのだから」
「分かりました」
素直にうなずいたのに、ヴァルラムは苦々しげな表情を崩さない。彼はルフィナが何をしても、気に入らないのだから仕方ないが。
「今日の夜会には、アルデイルの王太子が来る。野蛮な獣人に興味はないが、あの国の軍事力だけは魅力的だ。おまえもせいぜい着飾って、未来の夫に気に入られるよう努力するんだな。男に媚びて寵を得るのは、母娘そろって得意だろう?」
「えぇと、あの、中庭に行っていました。ほら、リリベルの花が咲いたから」
「ふん、そんな雑草まがいの花を好むとは。身分の卑しい者の考えることは分からんな」
そう言ってヴァルラムは、ルフィナの腕の中からリリベルの花束を取りあげると床にぽいと放った。小さな花のいくつかが、その衝撃で落ちて床に散らばる。足元に転がってきたそれを、ヴァルラムは無表情のまま真っ黒なブーツで踏み潰した。
「あ」
思わず声をあげてしまうと、ヴァルラムはルフィナをじっと見つめた。観察するような彼の表情を受けて、ルフィナは眉尻を下げて悲しげな表情を作る。
「……酷いです、お兄様」
目に涙を浮かべてみせれば、ヴァルラムは満足したように唇の端を上げた。
彼は、こうしてルフィナを泣かせることを楽しんでいる。ルフィナが傷つけば傷つくほど、彼は愉悦の表情を浮かべるのだ。
「遊んでいる暇があるなら、夜会に向けて支度をしておけ。おまえの取り柄など、その見てくれにしかないのだから」
「分かりました」
素直にうなずいたのに、ヴァルラムは苦々しげな表情を崩さない。彼はルフィナが何をしても、気に入らないのだから仕方ないが。
「今日の夜会には、アルデイルの王太子が来る。野蛮な獣人に興味はないが、あの国の軍事力だけは魅力的だ。おまえもせいぜい着飾って、未来の夫に気に入られるよう努力するんだな。男に媚びて寵を得るのは、母娘そろって得意だろう?」