【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 久しぶりに兄と対面することを考えると少し気持ちは落ち着かないが、これが彼に会う最後の機会になるだろう。ルフィナはもう、アルデイルで生きていくと決めているから。
 

 カミルが仕立ててくれたドレスは、金色の華やかなものだ。婚礼の時にも着たアルデイルの伝統的なドレスによく似た刺繍が全面に施されていて美しい。たくさんのビーズや宝石を縫いつけた刺繍は、ルフィナが身動きするたびにきらきらと輝く。長いトレーンの裾に刺繍されているのは、リリベルの花だ。
 身体にぴったりと沿うデザインのロングドレスは、ルフィナをいつもより大人びて見せていた。

「本当に素敵。よく似合ってるわ」

「ありがとう、私もとっても気に入っているの」

「お兄様の執着をめちゃくちゃ感じるけどね。金色のドレスだなんて、お義姉様を自分の色で染め上げる気満々って感じよ」

 くすくすと笑いながらアイーシャが言う。確かにドレスもアクセサリーも、カミルの髪や瞳の色によく似た金色で統一されている。
 だけどルフィナは、その色も含めて気に入っている。だって、カミルに抱きしめられているような気がするし、彼がそれほど自分に執着してくれているということが嬉しくてたまらないから。

「さぁ、おしゃべりは一旦終了ですよ。お化粧ができませんからね」

 そう言ってイライーダが鏡台の鏡越しにルフィナをのぞき込んで笑う。
 反逆の疑いで共に捕らえられて酷い目に遭った彼女だが、今も変わらずルフィナのそばにいてくれる。消耗はしていたが傷つけられていなかったことにルフィナは心から安堵したし、彼女も気丈にルフィナの無実を訴えてくれていたことを知って本当に嬉しかった。
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