【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜

決別

 ルフィナの疑いが晴れてから、表面上は何もない穏やかな日々が続いている。

 手紙を偽造したのはやはりサラハに違いないようで、その証拠も見つかったそうだ。だが、彼女を捕えるのも時機を見ているのだとカミルから説明を受けている。
 騎士団長は一度、ルフィナのもとを訪ねてきて深々と頭を下げ、手打ちにしてくれと剣を差し出してきた。もちろんそんなことできるわけないので、慌ててお引き取り願ったのだが。カミルは代わりに一発殴っておくと言っていたが、それも止めておいた。(だが、その後頬を大きく腫らした騎士団長を見かけたので、カミルの言葉は本気だったのかもしれない)

 ◇
 
「お義姉様、とっても素敵!」

 アイーシャの言葉に、ルフィナは微笑んだ。
 相変わらず部屋からあまり出ない生活をしているルフィナだが、本日の夜会には出席を予定している。そのための身支度を、アイーシャが手伝ってくれているのだ。

 今夜の夜会はアルデイル国王の誕生日と、夫妻の結婚二十五周年を祝う会ということで、かなり規模の大きなものだ。
 いい機会だからと、カミルがホロウードにも招待状を出した。ルフィナとヴァルラムの関係をはっきりとさせるためにも、皆の前でホロウードとの国交を断つことをカミルは考えているという。
 野蛮だと蔑まれてまで関係を維持する必要性を感じないからだというカミルの言葉に、ルフィナはうなずいた。

 しばらくして、ヴァルラムからも出席すると最低限の内容だけしたためた返事が来ていた。几帳面な兄にあるまじき投げやりな筆跡のサインを見て、ルフィナはため息をつくことしかできなかった。
< 142 / 166 >

この作品をシェア

pagetop