【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 慌てて口をつぐんだルフィナを見て笑いながら、イライーダがルフィナの唇にそっと紅を差す。いつもより少しだけ濃い色合いは、ドレスの輝きに負けないためだろうか。メイクも、いつもより華やかだ。
 

 準備が整ったのを見計らったかのように、カミルがやってきた。アルデイルの正装だという丈の長い上衣は、背の高い彼によく似合う。
 生地にはルフィナのドレスと似た刺繍が施されているし、胸元には薄紫の石が輝くピンが留められており、それはルフィナの髪の色。二人が並んで立てば、お互いの色を身につけていることは一目瞭然だろう。

「ルフィナ、とっても綺麗だ」

「ありがとうございます。カミル様もとても素敵ですよ」

「仕上げにこれを」

 そう言ってカミルが小さな箱を取り出す。中に入っていたのは、金色の指輪だ。小さな釣鐘状の花が連なったデザインは、間違いなくリリベルの花がモチーフ。着ければ、まるで指に花が咲いているように見えるだろう。

「リリベルの花……!」

 思わず小さく叫んだルフィナを見て、カミルは照れくさそうに笑う。

「前に約束しただろう。いつかきみにリリベルの花をデザインした指輪を贈るって」

「覚えててくださったなんて……」

「きみの、その決して折れない強い心に俺は惹かれたんだ。だけどこれからは、辛いことを感じる暇などないほどに幸せにしたい。きみをあらゆるものから守ると誓うから、どうかずっとそばにいて」

 膝をついたカミルが、ルフィナの手の甲に口づけた。結婚式での誓いの時よりももっと真摯な響きで伝えられた言葉に、ルフィナは涙を堪えつつうなずく。
< 144 / 166 >

この作品をシェア

pagetop