【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
「……っそれ、は」

 震える声でつぶやいたサラハは、一瞬で青白い顔になる。それでも、かたかたと身体を震わせながら唇を噛む彼女は、この状況でも庇護欲をそそる可愛らしさだった。
 だがそれもカミルには通用しない。表情を変えることなく冷たく見据えられて、サラハは微かに怯えたような顔になった。

「我が妻ルフィナを陥れようとしたばかりか、国家機密を漏らすような真似をするなど言語道断。おまえには相応の罰が下るだろう」

 静まり返った会場に、カミルの低い声が響く。その場に崩れ落ちたサラハを、騎士団長が拘束した。

「それから、もうひとつ」

 声を張ったカミルに、再び会場の視線が集まる。カミルはサラハをにらむように見下ろした。

「手紙は、ルフィナが祖国の兄に向けて宛てたものを装っていた。書かれている内容は嘘まみれだったが、俺がルフィナに贈ったネックレスについて詳細に記した箇所があった。ネックレスの裏に描かれた言葉など、それを知っているのは俺とルフィナ、そしてこれを売っていた屋台の店主のみだ。どうしてお前がそれを知っている? 似たものを作らせてもいたようだが、ルフィナは人前ではネックレスをほとんど身につけていなかったはずだ。どこで知った?」

 詰問されて、サラハは投げやりなため息をついた。そして薄笑いを浮かべてカミルを見上げる。
 その顔は、さっきまでのか弱さなど微塵も感じさせない。
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