凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
「え? そうだったか?」

「そうだったよ! なんか…嫌だった…」

おいおい。
まじかよ。

なんだよこの可愛いやきもちはよ。

だから夫だなんて言ったのか?

「やきもち…妬いちゃった…」

そう言って唇を尖らせている。

「伊吹がかっこ良すぎるんだよ。みんな見てるもん」

おお。
止まんねぇじゃん。

くくくくっ。
可愛いー。

「確かに視線は感じるな」

どこに行ってもこんなもんだから、あまり気にもしてなかったけど。

「俺モテるからなぁ」

なんて言ってみたりして。
正直モテてる自覚はある。
俺は琴しか眼中にないけど。

琴はそんな俺をギロっと睨む。

たまらん。
拗ねた顔も最高だ。

「可愛い」

人混みの中ニヤつきながら琴に言う。

すると琴は繋いでいた手をバッと離した。

「思ってないくせに!」

そう言うと琴はなんと俺から離れて走りだした。

「ちょっ、琴!」

追いかけようとすると、誰かとぶつかってしまう。

「あ、ごめんなさい」

「い、いえ。こちらこそすみません」

気を取られて目を離してしまい、琴を見失う。

「琴! 琴!」

いねぇ!
連絡しようにも、琴のバッグは俺が持っちまってる。


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