凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
「え? どうしたの?」

「あ、いやなんでもない」

俺は何を聞いてるんだ。

何も付いていない自分の左手の薬指を見る。

俺だって早くあの二人のように結婚して、指輪をはめて…

誰が見てもお似合いの夫婦だと…

琴の隣で堂々と夫だと言いたい。

琴の残りの人生を背負い共に歩んでいきたい。

「あのさ琴。ちょうど日本に帰ってきたし籍…入れちゃおうか」

俺は勢い任せにそんな事を言ってしまう。

琴はジッと俺を見たまま返事をしない。

「嫌…か?」

「うん。嫌」

「え…?」

琴ならすぐに良いと言ってくれると思っていた。

「今の伊吹…、なんかカッコ悪いよ。私帰るね」

俺は放心してしまい何も言えないまま琴は帰ってしまった。
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