凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
「伊吹さんかわいそっ」

グァっ!

「今ごろ泣いてるんじゃない?」

いや泣きはしないと思う。

「どうして伊吹さんがそう言ったのか考えたの?」

え…

私は何も言えなくなった。

確かになんで伊吹はああ言ったんだろう…

「寂しいのはさ、伊吹さんも同じなんじゃないの?」

「普通に琴と早く夫婦になりたかっただけじゃないの?」

仕事辞めるのだって、レーサーとして真剣に頑張ってる彼を支えるためなら全然良いし、本当に専業主婦として側で精一杯出来ることをしたい。

それに専業主婦は私の憧れでもあるし。

ちゃんと言ったつもりだったんだけどな…

そしてふと思う。

そうだ…。

伊吹はそういう人だったと。
自分の事より私を優先する人だと。

思いやりに溢れ優しい人だと。

前にその話をしてる時もどこか申し訳なさそうだった。

籍を入れようって言ったのも、シンガポールでやきもち妬いてわがままに拗ねたから…

それを私はカッコ悪いだなんて言って突っぱねて出てきてしまった。
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