凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
伊吹は私を射抜くような、真剣で何かを決意したようなそんな表情を見せる。


私はそんな伊吹をただ見つめることしかできない。

しばらく見つめあったまま沈黙が続く。

そして伊吹が口を開いた。

「かっこ悪いだなんて言えないくらいのレース見せてやる」

え?

「誰よりもかっこいいところ、見せてやる」

それって…

「それで、一回りも二回りもでかくなって、最高の男になってお前を迎えにくるわ」

そう言って伊吹はフッと笑って私の頭をポンと撫でた。

私の目からは、ブァッとダムが決壊したかのように涙が一気に溢れ出す。

両手で顔を覆い下を向いて泣くことしか出来ない。

嬉しくて…

「琴…顔を上げて」

そう言って顔を覆っている手を取られる。

「ほら。下向いてたらキス出来ないだろ?」

「うっ…」

「しばらくまた会えないんだから。今のうちに充電させて」

私は涙もそのままに伊吹に飛びついた。
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