凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
「いや?」

「いや…じゃないけど…」

「これ持ってて」

そう言って伊吹のコーヒーも待たされて両手にアイスコーヒーを持った私をまたヒョイっと持ち上げシートに着陸させられた。

運転席に乗ってきた伊吹にコーヒーを渡す。

「ん、さんきゅ。琴さ、絶対柔道してたよな?」

笑いながら聞かれてしまう。

あー。

「いや…あはは」

言いたくない。

「いいよ隠さなくて。あれはビビったわ」

なんて言って笑う伊吹。
怒ってないらしい。

「ごめんね。痛かった?」

「大丈夫。俺頑丈だから」

確かに。
引き締まった筋肉に覆われていて、とても…男性らしい。

「俺…あん時、ごめんな」

私が弟と同じ会社だと知って気まずくなったのかな。
また謝ってきた。

「いいよ別にもう」

「全然良くなさそう」

そう言ってクスッと笑う伊吹。
なんか私が凄く子供に見えてきた。

「私って…軽そうに見えるらしいから」

それは本当だ。

「いや、そんな事…」

「ないって?」

「すまん」
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