凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
「わかったわかった。ほら、食べな」

「あっつ。一気に汗かいちゃった。クーラー止まった?」

止まってねぇよ。
ここホテルだぞ。

そんな事言う琴が可愛くてたまらん。

「どうだかな。琴、俺さそろそろレース始まるんだよね」

「そうなの?」

「うん。だから今までみたいにはあんまり会えないかも」

「そっか…」

「寂しい?」

「うん。ちょっと寂しい」

グァ!
まさかのストレート。

そんな事あるわけないじゃん!
って言われるかと思った。

「全然会えないわけじゃないから。連絡もする」

「うん」

えー、なんでちょっと泣きそうになっちゃってんのー?

「次のレース、日本なんだけど観戦しに来れる?」

「え! 行きたい! いいの!?」

パァッと明るい表情に変わる。

「いいに決まってるだろ」

俺はつい琴の頭に手を乗せて撫でてしまった。

あ…

パッと手を離す。
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