凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜


「あれ見てどう思う?」

「嫌」

「はい、完全に琴は彼に惚れてます」

だね。

「ほら、わかったらさっさと戻るよ!」

「ったくどこの誰だよ。うちの琴の彼にナンパするバカ女は」

と二人は息巻いている。

でも私たちが席に戻る頃には、話しかけていた兎ちゃん系のふわふわ女子三人組は顔を赤くして泣きそうになりながら出て行った。

そしてなんて言ったのか聞けばそれは辛辣な言葉で、やっぱり前と変わらず他所には毒を吐くらしい事がわかった。

しかも何度も会話に出した莉央羅と環の名前をさっぱり覚えてなくて、私は咄嗟にツッコミを入れてしまった。

なのに伊吹は余裕な顔をして笑っている。

叩かれたの気付いてないんか?
ってくらいに。

確かに私に投げられてもあんまりこたえてなかったけど。

頑丈すぎんか?

そんな所も…素敵…

いやキュンしてる場合ではない。
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