凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
「いや俺、本当女の子の名前覚えられないのよ」

めっちゃ笑ってるし。

「私の事は?」

「琴は特別」

そう言ってスッと手が伸びてきて、鼻の先をツンと押された。

鼓動が早い。

特別って…
そういう意味…かな…

「強烈だったし。俺の事投げ飛ばしたたった一人の特別な人」

「そっちかい!」

ドキドキしちまったわい!

「ははは! ほら、着いたよ」

車から下りた伊吹は助手席に周り、いつものように私を下ろしてくれる。

「ありがとう」

「どういたしまして」

私はズルい。
だって、わざとヒールを履いてきてるから。

こうして車の乗り降りを手伝ってほしくて。

なんだよ。
もうとっくに私、惚れてたんじゃん。
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