凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
伊吹に続いて後ろを歩く。

伊吹は足が長いから歩くのが早くて、たぶん伊吹なりに合わせてくれてるけどどうしても距離があく。

でも距離があくと、立ち止まって私が並ぶまで振り返って待っててくれる優しい人。

「ヒール。歩きにくい?」

「ん? 大丈夫。ごめんね、遅くて」

「たまにあれ? 隣にいたのにいねぇ! って焦る」

そんな事思ってたんだ。

「はは! いるよちゃんと」

「うん。だから振り向くとちゃんと着いてきてるから安心する」

何それ。
めっちゃキュンなんだけど!

安心するって言われるの、嬉しい。
初めて知った。

「私も待っててくれるの嬉しいよ」

「そっか。俺気づかないで一人で喋ってる時あるよ」

「ははは! わかる。なんか話してんなーっては思ってた。遠いよーって」

そう言って笑えば、なんとも自然に手を取られ繋がれた。
指を絡めた恋人繋ぎ。



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