それぞれの幸せの形
柚葉は麗奈の従姉妹だった

そう、麗奈が治してあげたいといって医者を目指していたのは柚葉だった

俺は麗奈が生きていた時、柚葉を実際に見たことはなかったし、詳しくは話を聞いたことがなかった
でも、麗奈はよく俺の話を幼い柚葉に話していたらしく、俺と初めて会った時も俺の存在に気づいていたらしい

「私あの時小さかったけど、麗奈ちゃんがめっちゃ智樹くんの話するからちゃんと覚えてたんだよ
麗奈ちゃんのお葬式でも、どこか一点を見つめる智樹くんを見て、この人が麗奈ちゃんのよく言っていた人かって印象に残ったの今でもはっきり覚えてる

それから親戚の間で智樹くんがだんだんと前を向いて進んでいるって話題になってよかったねって話していたんだよ
だから初めて会った時、優香の彼氏って聞いてちょっと寂しくもあったけど
でもちゃんと前向いて新しい彼女作ったんだって安心した」

そんなことを聞いて、麗奈がちゃんと俺のことを見ていてくれたことにすごくうれしくて
また、麗奈のことを思い出す日々が続いた

そもそも麗奈との最後は別れ話だった

今でもなぜあの時麗奈が俺に別れ話をしたのかはわからないままだった
麗奈は亡くなる直前に俺に
”ほんとは好きだよ”
というメールを送った
だから余計にわからないままだった
でも誰に聞いても真実は麗奈自身にしかわからないし、知るすべがなかったから半分あきらめていた

そんなときだった
衝撃の事実を知ったのは
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