キミのために一生分の恋を歌う② -last stage-
小春やすみちゃんたちと合流し、私達は羽田空港に到着した。
晴やゆかさん、それに東条先生も来てくれる。

冬夜とお母さんもライブに来てくれようとしたけれど、このまま見送りのあとフランスにまた帰ることになっていた。これから先も向こうで暮らしていくと決めたという。

「小夏、最後のライブなのに行けなくてごめんね」
「いいんだよ、お母さんも身体そんなに強くないんだから向こうに帰っても無理しないでね」
「ありがとう。離れていてもずっと応援してるから」

冬夜も近づいてきて、ハグを求めてきたので応じる。
とても懐かしくて温かな気持ちになる。

「冬夜。ずっとずっと会いたかった。ずっとずっと大好きだったよ。だけどね、いま私があの時よりも成長して、歌手としてこうして冬夜の前にいられること、すごく誇りに思えてるんだ」
「うん……小夏はもう自由だよ。僕に縛られず、晴と幸せになるんだよ」
「うん! 私、冬夜をすきになれて良かったよ。愛してくれてありがとう」

さらに強く抱き締めてくれる冬夜。
離れ難いけれど、私からそっと離れた。

「元気でね!!」

そして笑顔で手を振った。

「晴と別れたらいつでも帰ってきなよ」
「絶対に離しませんよ!」
「仕方ないから晴にこれ渡しておく。僕の代わりだ」

晴の手に、冬夜のバイオリンが渡る。

「怨念がこもってますね」
「もっと呪ってあげようか」
「嘘です。ありがとうございます。冬夜さんの思い、いや小夏の家族みんなの思いが籠ってるお守りとして、ライブに持っていきます」
「一生、しっかり頼んだぞ」
「はい。冬夜さんたちもまた必ず元気で会いましょう」

冬夜とお母さんが帰っていく後ろ姿を見送った。
凛として迷いがなくて少しだけ涙が出た。
晴は隣に来て、手を握ってくれた。
私は何があってもこの人の隣にいる。
今の私を支えてくれるみんなと一緒に生きていくんだ。
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