御曹司様の一目惚れ人生ゲーム〜私はただ愛されたかっただけ〜花村三姉妹   葉子と仁の物語
第一子誕生から7分後には第二子が生まれた。今度は女の子の千成(ちなり)ちゃん。冬万の大きな泣き声よりも可愛らしい小さな泣き声。


初めて二人の我が子たちを胸に抱いた感激は、とても鮮明に胸に刻まれ、一生忘れはしないだろう。思っていた以上に小さくて、壊れそうな赤ちゃんたち。この子たちが毎日笑っていられるようにと祈る。




産後の処置も終わり、ようやく震えが止まった私は、個室に運ばれる。


あの震えはなんだったのだろう?


しかし、こんなホテルの部屋の個室でなく、大部屋でもよかったのに。すごく甘やかされて、これがクセになりそうだよ。


ドアがノックされ、ケータイを手にした興奮気味の仁が入ってきた。ベッドの隣にある椅子に腰掛け、私の大好きな彼の優しい笑顔で新生児室にいる冬万と千成の動画を見せてくれる。彼の目はまだ赤いままだ。


「葉子ちゃん、お疲れ様。本当にありがとうな。俺を信じて結婚してくれて、俺を父親にしてくれて、冬万と千成を産んでくれて。愛してるよ、ありがとう」


産後でボロボロな姿の私を柔らかい瞳で見つめ、触れるだけの口づけをしてくれた。


ずっと思っていた、なぜ生まれてきちゃったんだろうって。
ずっと考えてた、生まれてくるべきではなかったんだって。
ずっと怖かった、いつかまた捨てられるんだろうなって。


でも、今日初めて感じた。


私が生まれたのは、仁に出会うためだったって。
私が生まれたのは、仁から人を信じることを教えてもらうためだったって。
私が生まれたのは、仁に愛されるためだったって。


そして、愛する彼と子供たちと家族になるためだったって。


手を伸ばして仁の頬にそっと触れる。我が子の誕生に感動して赤くなった目元。彼が愛おしくてたまらない。もちろん、口が悪い素の彼も大好き。


彼は私を捨てなかった。何も言わずに逃げて姿を消した私を探し出し、彼の腕の中に閉じ込めてくれた。


「仁、私を選んでくれて、探してくれてありがとう。仁と一緒になれてよかった。これからも、私と赤ちゃんたちをずっと愛してね。私も仁を愛してる」


これからは仁と一緒に生きていこう、新しいスタート。


仁が壊れた心を温めて、治してくれたから。


THE END


* 本作はフィクションです。登場する名称・団体・商品などは架空であり、実在のものとは関係ありません。
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