御曹司様の一目惚れ人生ゲーム〜私はただ愛されたかっただけ〜花村三姉妹   葉子と仁の物語
週末にはよく祖母と一緒に川沿いを散歩し、橋の上から川を眺めた。たまに感じる潮の香りが大好きで、長い時間そこにいたのを覚えている。この橋の上でたびたび祖母に言われたことがあった。


『葉子ちゃん、この川がどこに繋がっているか知っているかい? 東京湾に繋がっているんだよ。だからかね、よく海の香りがするだろう? その東京湾のずっと先には、日本より大きなアメリカという国があるの。アメリカの人は日本語ではなく、英語を話すんだよ。おばあちゃんは英語を話せないけど、頭のいい葉子ちゃんはお勉強したらきっと英語も話せる。そうしたらアメリカへ行って、色々な物を見ることができるよ!』


私が学校で成績が良かったのは、この祖母の言葉があったからだと思う。実際、勉強は好きで学生時代は常にトップだった。父さまの会社でインターンとして働くことに生きがいを感じ、長期休暇前はワクワクしたものだ。




もしかしたら、祖母はわかっていたのかもしれない。祖母亡き後、私が一人で生きていけるようにと。どうしようもないあの人たちに頼らず、自立するようにと。

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