御曹司様の一目惚れ人生ゲーム〜私はただ愛されたかっただけ〜花村三姉妹 葉子と仁の物語

そして、私の願いは思ったより早く叶ってしまった。それは、祖母の死という形で。


以前から体調がすぐれなかった様子の祖母。花村診療所のおじいちゃん先生がよく家に往診に来てくれ、私を気にかけてくれた。祖母がこんな状態になっても、あの人たちは変わらぬ生活を続け、ただ毎日ちゃぶ台にお金を置いていくだけ。


この頃から、美愛の家に泊まることが多くなり、大好きな祖母には悪いけど、美愛のうちの子になりたいって本気で願い続けた。


やがて年を越す前、12月初めに祖母が亡くなり、あの人たちは祖母の土地を売り払う。引越し先には私の居場所はない……、あの人たちは私を施設に送るつもりだった。大好きな祖母を失い、飼い猫も手放さなくてはならず、両親にも見捨てられた私に手を差し伸べてくれたのは、花村一家と近所の人たち。


これは私が高校卒業する時に、父さまと母さまから教えてもらった話。花村家では以前より男の子の養子を考えていたが、いつも我が儘を言わない美愛が懇願したらしい。


『ようちゃんをうちの子にして』と。


おじいちゃん先生から祖母の容態やあの人たちのことを聞き、私の養子縁組の準備中に祖母の死。近所の人たちや花村家があの人たちを説得し、私は花村葉子になることができた。


ちなみに、養子縁組の手続き諸々は伊集院涼介先生のお祖父様が担当してくださったそうだ。そして、私に今後一切連絡しないことも約束させた。