御曹司様の一目惚れ人生ゲーム〜私はただ愛されたかっただけ〜花村三姉妹   葉子と仁の物語
花村家の一員になり、今まで知らなかった当たり前のことを生まれて初めて体験できた。


両親からの愛情、姉妹愛、両親からのプレゼント……。


祖母からもプレゼントは誕生日やクリスマスにもらっていたが、花村葉子となり最初にもらったプレゼントは、ブルーのペルシャ猫のぬいぐるみ。国内外に引越しを繰り返す花村家では、ペットを飼うことが難しかった。


祖母が亡くなった時、私は飼っていた猫ともお別れしなければならなかった。『あんみつ』と名づけたその猫は、親切なご近所さんが引き取ってくれた。大好きだった祖母とあんみつと同時に別れた私に、父さまと母さまがこのぬいぐるみをくれたのだ。ブルー色、と言っても実際はシルバーグレー色。この猫の名前を『おしるこ』と名づけ、今でも大切にしている。お汁粉は祖母がよくおやつに作ってくれた、私の好きな物の一つ。ちなみに妹の美愛は黒いプードルで『Bon Bon』(フランス語でお菓子)という名前。




新しい生活にも慣れ、この家族で話されている言語を学び始める。美愛と一緒にいることはもちろん、姉の圭衣がゲームとして遊びながら教えてくれたことが大きい。おかげで数年後に引っ越したアメリカでの生活も問題なく過ごせた。


祖母の死と引き換えに、私は愛情深い家族を手に入れられた。花村葉子として、とても恵まれ幸せな日々を送っている。


祖母が言っていたように、アメリカはもちろん、ヨーロッパで過ごす機会もあり、色々なことを見て聞いて、経験をさせてもらった。




圭衣が自分のアパレル会社を立ち上げる時、私はまだ大学生だったが、バイト感覚で経営を手伝い始める。あの頃は小さな会社だったが、今では日本とアメリカにも出店するまで成長した。圭衣はデザインに集中して、私はほとんどの経営を任せられている。学生時代、父さまの会社でインターンしたのが役に立った。

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