御曹司様の一目惚れ人生ゲーム〜私はただ愛されたかっただけ〜花村三姉妹   葉子と仁の物語
ようやく辿り着いた港の隣にある公園のベンチで、昨日珍しく一人で来た父さまに言われたことを考える。


『君は私と似ていて、自分の感情を知らず知らず押さえてしまう。だからノートに仁君に対する感情を言葉にして書いてみたらどうだろうか? 文章にせず、一言でいい。彼のいいところとそうでないところと、全てを。それを読み返した時、君の彼に対する真の思いに気が付けるかもしれないよ』


その言葉と大好きな『にはし庵』の白玉あんずあんみつとところ天を置いて帰っていった。


父さまが平日にいきなり一人で来るなんて。
珍しいな。




ノートには書き出さなかった私は、今、仁への感情を次々に頭に思い浮かべる。


腹黒・エセ王子・遊び人・口が悪い・やたらと背が高いガキ大将


えっ、これだけ? なんか嫌なところが少ない。じゃあ、いいところは?


約束を守る・家族と仲間に愛情深い・料理が上手・私を見下さない・私の意見を尊重してくれる・暴力的でない・大きくてゴツゴツした安心する手・胸の奥が温かくなる彼の笑顔・あたしを優しく抱いてくれた


いいとこの方が多いな。それに、嬉しいことも言ってくれたっけ。


『おまえが望むなら、何でも叶えてやる』


あの言葉、嘘でも嬉しかったな……。
ああ、あたしはやっぱり仁が好きなんだ。


でも、もう決めたから、二度と傷つかないって。だから離れて、忘れるのが一番いい。


その前に、彼と最後に会って全てを終わらせないといけない。もうこれ以上引き延ばせないよね。

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