ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります！〜７

　王都の市場は、今朝も新鮮な食材を売る店がずらりと並び、可愛い子猫に味見をさせようと、店主たちが待ち構えていた。

「エリナちゃん、今日も可愛いな。そら、真っ赤なりんごをお食べよ、甘くてみずみずしいりんごだよ」

「ありがとうございます……」

　その瞳が鋭い光を放っていたので、果物屋は『はっ！　これは狩人の瞳！？　こんなに小さいのになんという迫力なんだ！』と目を見開いた。




「あっはははははは、そいつはルディが悪いねえ」

　エリナはテーブルを拭きながら、丸い頬っぺたをさらに丸くして姉さん猫に言った。

「ですよねー」

　青弓亭では、事の次第を聞いたミメットが大爆笑している。このキジトラ猫のお嬢さんは、青弓亭の看板娘猫であり、『旋風のミメット』という二つ名を持つ手練れの冒険者でもある。
　今は旅に出た兄の代わりにこの青弓亭を守り、エリナに鍛えられて立派な料理人として美味しい定食を作っている。
　そのため、真っ黒に焦げているのに生、という壊滅的な料理を作り出していたミメットの暗黒時代に付き合わされていた者たちには、エリナは救世主だと思われている。