今夜、上司と不倫します  不倫したら一億円もらえるって本当ですか!?
「やっぱり君は面白い。秘書課に来てくれてよかった」
「お笑い要員ですか」
 渋面を作ると、彼はまだ笑いを含んだ声で言う。

「仕事に癒しは必要だろう? 俺は君に癒されているよ」
 笑顔で言われて、亜都はどきっとしてしまった。
 内容はともあれ、こんなイケメンに自分が癒しの存在となっているなんて、なんだか意識してしまう。
 食事は和やかに終了し、怜也は亜都を家の前まで送ってくれた。

「今日はインフルになった取引先に感謝だな」
 車を降りる間際に怜也が言い、亜都は彼を見た。
「とても楽しかった。ありがとう」
 にっこりと笑顔を向けられ、亜都の胸がどきんと大きく脈打った。

「わ、私こそ、ありがとうございます」
「今度はプライベートでも誘いたいな」
「え!?」
 亜都の心臓がさらに大きく跳ねた。

「君といると笑えるから」
「お笑い要員にしないでください」
 そういう意味か、と亜都はがっくりと肩を落とす。
 はは、と怜也は笑い、亜都は別れの挨拶をして車を降りる。
 車を見送ってから、はあ、と大きくため息をついた。

「奥さんいるくせに、嘘でもプライベートで会いたいなんで言っちゃダメでしょ」
 こぼした直後、胸がずきんと痛んだ。

 まさか、と亜都は胸を押さえる。
 まさか、もう好きになった? そんなことないよね?
 どきどきする胸を押さえ、亜都は思う。
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