今夜、上司と不倫します  不倫したら一億円もらえるって本当ですか!?
「色仕掛けは今までにもやられたことがある。だが、君がこんなことをするとは思わなかった」
 軽蔑の含まれた声に、亜都の心は氷点下まで冷え込んだ。

「すみません」
 亜都は謝り、うなだれた。
「誰かに頼まれたのか?」
 亜都は頷きそうになり、思い留まった。

 話してしまっては、自分が不利になりそうだ。
 だけど、とすぐに思い直す。
 暴露して奥様の愛ゆえなのだとわかってもらえれば、首を切られずに済むかもしれない。

「実は、奥様に頼まれたんです」
「はあ!?」
 怜也は素っ頓狂な声を上げた。

「奥様は癌で余命宣告されていて。死後に寂しくないように、専務を誘惑するようにとお頼みになったんです。だから、奥様を責めないでください!」
 亜都は頭を下げるように首を動かす。

「奥様ってなんだそれは」
「すみません、秘密だったんですよね。ですが奥様本人から頼まれました」

「秘密の奥様って、ますます意味不明だが。俺は独身だ!」
「へ?」
 今度は亜都が間抜けな声を出した。

「でも、確かに奥様だって」
「どこのどいつだ。連絡先はわかるか」
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