今夜、上司と不倫します  不倫したら一億円もらえるって本当ですか!?
「はい、スマホに」
 言われた怜也は立ち上がり、亜都に手を差しだす。

 おずおずと手をとって立ち上がった亜都は、こんなときでも彼は優しい、と頬を赤くした。
 亜都はすぐにバスローブを掻き寄せて胸元を隠した。

「そいつの連絡先を出して」
 不機嫌そうに言う彼に、亜都はスマホを出して清良の番号を示す。
「あいつか!」
 示された名前に、怜也は声を上げる。

「偽名を使いもせず、よくもまあ」
 怜也はしかめっつらで額に手を当てる。
 笑いを我慢しているわけじゃないことはすぐにわかった。

「茶番は終わりだ。服を着て」
「服、持っていかれてないんです」
 亜都が困ったように答えると、はああ、と怜也は深いため息をつく。

「そうだったな。借りるぞ」
 怜也は亜都の手からスマホを奪い、清良にコールする。
 数度のコール音のあと、はい、と清良が電話に出た。怜也はスピーカーにしてスマホをテーブルに置く。

「お前、なにしてくれてるんだ!」
「あらお兄さま、バレました?」
 くすくすと笑う声が響き、亜都は呆然と怜也を見た。
 お兄さま? 夫婦じゃなくて兄妹?
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