あやめお嬢様はガンコ者
(このままではダメだわ。せっかく気持ちを閉じ込めていたのに)
会社に着き、パソコンを立ち上げながら私はチラリと久瀬くんのに目を向ける。
いつも通り真剣な表情で書類に目を落としている久瀬くんを見ただけで、胸がキュンとした。
(なんてこと……。これは最優先案件だわ。よし、一気に政略結婚の話を進めるわよ。恋に落ちるより早くお見合いを!)
私は気合いを入れると、我がふたば製薬にとって良い影響を及ぼしそうな企業をピックアップする。
これから海外に目を向けることを考えると、外資系製薬会社の御曹司が良さそうだと結論を出した。
(クリオ製薬の副社長って、確か30代でまだ独身だった気がする)
私は腕時計に目を落とし、由香里ちゃんと原口くんが出社するにはまだ早い時間だと確認してから父に電話をかける。
「もしもしお父様?あやめです」
『どうしたんだ?珍しいな』
「はい。外資系製薬会社とのコネクションを築きたいと思うのですが、直近でパーティーなどはありますか?」
『あるよ。確か、来週の木曜の夜だったかな。外資系も含めた製薬会社が集まる懇親パーティーだ』
「そのパーティー、私が同行しても構いませんか?」
『構わんよ。それなら久瀬くんもお誘いしなさい』
思わぬ話の流れに、ええ!?と驚いた。
「どうしてですか?」
『だって新部署の部長同士なんだから、二人で行動を共にするべきだろう?』
「そうですけど。それだと私は身軽に動きづらくて……」
『なぜだ?御曹司をナンパでもするつもりなのか?』
言い当てられて私は慌てる。
「ま、まさか!とんでもない」
『それなら久瀬くんと二人で挨拶回りをしなさい。パーティーの詳細は、あとで秘書からお前と久瀬くん宛にメールさせる。じゃあな』
そう言ってプツリと切れた電話に、私はしばし呆然としていた。
会社に着き、パソコンを立ち上げながら私はチラリと久瀬くんのに目を向ける。
いつも通り真剣な表情で書類に目を落としている久瀬くんを見ただけで、胸がキュンとした。
(なんてこと……。これは最優先案件だわ。よし、一気に政略結婚の話を進めるわよ。恋に落ちるより早くお見合いを!)
私は気合いを入れると、我がふたば製薬にとって良い影響を及ぼしそうな企業をピックアップする。
これから海外に目を向けることを考えると、外資系製薬会社の御曹司が良さそうだと結論を出した。
(クリオ製薬の副社長って、確か30代でまだ独身だった気がする)
私は腕時計に目を落とし、由香里ちゃんと原口くんが出社するにはまだ早い時間だと確認してから父に電話をかける。
「もしもしお父様?あやめです」
『どうしたんだ?珍しいな』
「はい。外資系製薬会社とのコネクションを築きたいと思うのですが、直近でパーティーなどはありますか?」
『あるよ。確か、来週の木曜の夜だったかな。外資系も含めた製薬会社が集まる懇親パーティーだ』
「そのパーティー、私が同行しても構いませんか?」
『構わんよ。それなら久瀬くんもお誘いしなさい』
思わぬ話の流れに、ええ!?と驚いた。
「どうしてですか?」
『だって新部署の部長同士なんだから、二人で行動を共にするべきだろう?』
「そうですけど。それだと私は身軽に動きづらくて……」
『なぜだ?御曹司をナンパでもするつもりなのか?』
言い当てられて私は慌てる。
「ま、まさか!とんでもない」
『それなら久瀬くんと二人で挨拶回りをしなさい。パーティーの詳細は、あとで秘書からお前と久瀬くん宛にメールさせる。じゃあな』
そう言ってプツリと切れた電話に、私はしばし呆然としていた。