色恋沙汰はどこまでも
 そう吐き捨てた女の子がとても輝いて見えて、胸のドキドキが加速していく。俺は体格差を理由に負けても仕方ないって自分に言い聞かせてた。でもそれは違った、こんな華奢な女の子があのガキ大将に勝ったんだ。


 「おーいガキ、さっさと帰んぞ」

 少し離れたところに女の子を『ガキ』と呼んだ人がいて、その人もその人で強そうというか、すごく怖そうな人だった──。

 「うっさいわね、お父さんにボコボコにされた奴にガキとか言われたくない。で、あんたら怪我とかないわけ?」

 「「「あ、う、うん」」」

 「あっそ」

 別にお礼とか求めてないから、みたいな雰囲気がすごくて俺達は無言で見送るしかなかった──。

 今思えば馬鹿馬鹿しいけど、それがなかったら羽柴さんに出会うこともなかったし、それがあったから中学で羽柴さんを見つけた時は本当に嬉しくて。あの時のお礼が言いたい、でも臆病な俺はいつだって堂々としてて綺麗な羽柴さんに話しかける勇気もなくて、ただ想いを寄せることしかできなくて。

 俺はあの日、羽柴さんに出会ったあの時から次は俺が守れるようにって鍛えてきた。羽柴さんは勘違いされることが多い。見た目も行動も、良くも悪くも目立つから危なっかしくて、でも羽柴さんは俺の心配なんて要らないくらい強くて芯の通ってる子で。1年また1年と時が流れていく、羽柴さんと接点を持つことさえできずに。気持ち悪いかもしれないけど年々羽柴さんへの想いが増して、親には反対されたけど彪ヶ丘の一般に通わせてもらうことができた。
< 13 / 135 >

この作品をシェア

pagetop