色恋沙汰はどこまでも
 私も私でどうやら体が鈍ってるらしい。龍の動きに反応しきれず止めれなくて日髙を殴りにかかった龍。それをニコニコしながら躱した日髙にすかさず激重なハイキックが日髙の頬にもろ直撃してガタン!と音を立てながら壁にぶつかった日髙。

 「龍!!」

 絶対殺すマンになってる龍の後頭部を容赦なくひっ叩いて、壁にぶつかってうつ向きながら座り込んでる日髙を覗き込んだ。ていうか、日髙も日髙でなんで受け身取らなかったのよ。そもそも日髙なら躱せただろうし、受け身する余裕もあったでしょ。

 「ちょっと、大丈夫?日髙」
 「心配ですか、僕のこと」
 「いや、別に」
 「ハハッ!いやぁ、やはり手強いですね。凛子様は」

 ヘラヘラしながらひょいっと立ち上がって身なりを整えてる日髙をジト目で見る私。そんな私の頭を撫でようとしてきた日髙の手を払い退けてた。こいつ、私に心配してほしくて“わざと”龍の蹴り受けたんだわ、マジで馬鹿じゃないの?

 「凛子さん、マジで殺っていいすかコイツ」

 今までにないくらいブチギレの龍にヒヤヒヤしつつ、その元凶である日髙は『どうぞ?やれるもんなら』スタンスだから龍がもう爆発寸前。その前に私が爆発寸前しそうだけどね、色々と。

 「龍、もうやめて。これ擬人化文房具」
 「『これ』だなんて酷いなぁ、凛子様」
 「日髙はちょっと黙ってて」
 「僕を黙らせるには口を塞ぐしかありませんよ?凛子様のその美しい唇でっ」
 「テメェ凛子さんに感謝しろよ。じゃなきゃテメェみたいな奴とっくに殺ってる」
 「そうですか、それはそれは」
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