色恋沙汰はどこまでも
 「凛子が美人だからって僻みすぎっしょ。僻むまえに自分磨きしろし」

 なんて嫌みったらしく大きな声で言う美智瑠の頭にコツンッと軽くチョップした私。

 「はいはい、そういうこと言わないの」

 入学早々無駄に敵なんて増やしたくない、めんどいし。話しかけてくる男子を軽くあしらって、教室の前に席順が書かれた紙が貼ってあるのを確信。

 「さすがに凛子と席は離れちゃってんね~」

 「あらま」

 そんなこと話ながら教室の中に入って自分の席に着いた。一番後ろの窓側って最高かよ、なんて思いつつボケーッとしながら担任が来るのを待つ。時間になると担任が来て、入学式の説明やら担任の自己紹介やら。

 「んじゃそろそろ行くぞ~」

 高校生にもなってこんな列作ったりしなきゃなんないの?適当でいいじゃん、こんなの。

 「久しぶり、羽柴(はしば)さん」

 そう声をかけられて隣を見てみると──。

 えーっと、誰?

 「って言っても羽柴さんが俺のこと把握してるはずがないか」

 「ああ、うん、ごめん。同中だっけ?」

 羽柴凛子(はしばりんこ)15歳。自分で言うのもなんだけど、おそらく普通の女子高生より敵を多く作ってきたから、どこの誰とかいちいち把握してない。そもそもこの人、絶対こっち側(不良男)でもあっち側(ギャル男)でもない。どちらかと言うと真面目?っていうか、爽やかスポーツ青年みたいな感じ。
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