(二)この世界ごと愛したい
理由はともあれ、私に会えることに捕縛されながらも喜ぶ総司令さん。
それを見てエゼルタ王は冷たく言い捨てる。
「…ただ、あの姫が応じるか分からんぞ。何度か断られた。」
「断られた?」
子供のようにワクワクした表情から一変、総司令さんは真剣に考える。
「何て断られたんです?」
「最後は確か、国王陛下への謁見は恐れ多いと。」
「ふはっ、本当に面白い子だ。陛下、次はアレンデールへ招待状送ってみて。そしたら必ず来ますよ。」
「…そうしよう。」
エゼルタ王はその意見を採用。
それは私の意図を汲み取った総司令さんのお手柄。エゼルタ王と会うのは浪人する私では恐れ多いことこの上ない。
逆に言えば、正式な手順でアレンデールへ姫宛に招待状を貰えるのなら。それは途端に行かない方が失礼にあたるので行かざるを得ない。
「今回のお前の勝手は流石に見過ごせん。罰も無しとはいかん。」
「大目に見てよー。頑張って働くからー。」
「お前はここ最近魔女狩りにしか力を入れてなかっただろ。それでこのザマだ。仕方あるまい。」
「えーどんな処罰?痛いやつ?禁欲はやだよ?」
「…しばらく謹慎だ。その間、総司令代理を立てろ。お前の処罰は追って本人に決めさせよう。」
総司令さんの処罰を、私に一任すると言うエゼルタ王。
いないところで凄く迷惑な話だ。