(二)この世界ごと愛したい



理由はともあれ、私に会えることに捕縛されながらも喜ぶ総司令さん。


それを見てエゼルタ王は冷たく言い捨てる。




「…ただ、あの姫が応じるか分からんぞ。何度か断られた。」


「断られた?」



子供のようにワクワクした表情から一変、総司令さんは真剣に考える。




「何て断られたんです?」


「最後は確か、国王陛下への謁見は恐れ多いと。」


「ふはっ、本当に面白い子だ。陛下、次はアレンデールへ招待状送ってみて。そしたら必ず来ますよ。」


「…そうしよう。」



エゼルタ王はその意見を採用。


それは私の意図を汲み取った総司令さんのお手柄。エゼルタ王と会うのは浪人する私では恐れ多いことこの上ない。


逆に言えば、正式な手順でアレンデールへ姫宛に招待状を貰えるのなら。それは途端に行かない方が失礼にあたるので行かざるを得ない。




「今回のお前の勝手は流石に見過ごせん。罰も無しとはいかん。」


「大目に見てよー。頑張って働くからー。」


「お前はここ最近魔女狩りにしか力を入れてなかっただろ。それでこのザマだ。仕方あるまい。」


「えーどんな処罰?痛いやつ?禁欲はやだよ?」


「…しばらく謹慎だ。その間、総司令代理を立てろ。お前の処罰は追って本人に決めさせよう。」



総司令さんの処罰を、私に一任すると言うエゼルタ王。


いないところで凄く迷惑な話だ。





< 1,016 / 1,120 >

この作品をシェア

pagetop