(二)この世界ごと愛したい
「もしかして、昨日お話した人みんなそれを心配してる?」
「あのベタ惚れ具合を見たら、そりゃ心配にもなるって。戦場まで着いて来ちまう嬢ちゃんだし。」
私が着いて来たんじゃないけどね。
昨日はどちらかと言うと着いて来たのはおーちゃんだけどね。
「じゃあ、皆さんに伝えといてよ。」
「え?」
「不撓不屈を誓う。私は絶対に戦場で命は落とさない。もしそんなことになりかけたら、そうなる前に自分で断ち切る。」
だから、許して欲しい。
心配をお掛けしてしまうことは重々承知している。
断っても断っても、おーちゃんは私を想ってしまうらしいし。カイとのお仕事の関係上、離れることも難しい。
「我が儘でごめん。私もおーちゃんを守れるようになるから。」
そして、願わくばその先を。
「正しい正義の進む先を、私は見てみたい。」
もうぽかんとしている目の前の兵に、私はふわりと笑みを向ける。
「実は私のことはそんなに心配いらないよ。私のことは結局、世界で一番の将軍様が守ってくれるから。」
「…世界一の、将軍?」
「そう!強くて格好良くてとっても優しいの!」
「嬢ちゃんはソイツが好きなのか?」
「うんっ、大好きだよっ!」
おーちゃんの失恋を悟ったのか、憐れみの目をし始めた兵隊さん。
片想いとはそう言うことかと察したらしい。
「嬢ちゃんは不思議だな。」
「え、心外。」
「可愛い少女かと思えば、急に怖い雰囲気で話すんで驚いた。」
「怖がらせるつもりはなかったー。ごめんね。」