(二)この世界ごと愛したい




「…今日はここまでにしよっか。」


「あー痛え!!!」


「とりあえず手当てしてもらって、ご飯食べよー。」


「サクは!?」



自分ばっかり悲惨な目に遭うもので、サクを道連れにしようと思ったのか。


サクにもやらせろと騒ぐアキト。




「サクには明日からって伝えてるから今日はやらない。それにサクは単純な稽古だけで事足りるからいいんだけど、アキトはややこしいからねー。」


「なんで俺だけ…。」




ブツブツ言いながら不貞腐れるアキトを連れて、私はみんなが集まっているだろう広間へ向かう。



広間では既に隊員が夕餉を楽しんでいる時間で。




ボロボロのアキトを見て一同騒然。





「た、隊長!?」


「戦よりも酷え傷じゃねえか!!!」


「リンちゃんがやったのか!?」




狼狽える隊員達の中。


明日は我が身かと真っ青になるサク。





「誰か傷診てあげてー。」


「は、はい!」



すぐに隊員の一人がアキトの治療にかかる。




「それにしてもお前双剣すげえな!」


「でもやっぱり単純に元々力が足りない上に、さらに片手に分散されるからスピード重視になる分致命傷与えにくいのは欠点かなー。」


「だからこそこれくらいの怪我で済んだんだよなあ。」


「そういうことー。でも炎ありきでの戦い方ならもう無敵だよ。足りない力は文字通り火力で補える。」




それはソル軍との戦いで検証済み。


実に便利な力です。





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