(二)この世界ごと愛したい
「…お嬢寝とった。」
あまりに遅い私を、まさかと思いおーちゃんが様子を見に来て。
寝てることをカイに報告。
「はー…もう。俺話したいこと山程あったんやけど。」
「疲れとったんちゃう?」
「それにしたって…。明日はまた別の客も来るって伝え損ねたし。また逃げられたら敵わんわ。俺の命に関わる。」
「…てことは、白狼か。」
なんと、明日はシオンも来るらしい。
「戦、結局何やったん?俺んとこ意味不明な情報しか入ってけーへんねんけど?」
「…俺がエゼルタ討って城取ったって?」
「それや。正にそれしか入ってけーへん。歩くだけやのにそんなん可笑しいわな。」
「…お嬢の思惑通りで…ほんま凄いわ。」
カイは首を傾げる。
おーちゃんもこの先の話をどうしようかと考えたが、やはりカイに内緒には出来ないと。
戦の内容をここで話すことにした。
「…難儀な話…やな。」
「お嬢は最後までカイに隠そうとしとったけどな。罪の意識は一人で抱えるつもりやったんやろ。」
「アホやなあ。俺はそんな気にせーへんのに。」
「カイがお嬢と同じで国想いやからって言うてたで。」
そう言われたカイが思わず笑う。
「それもアホや。国想いでお嬢に並ぶ奴はおらんやろ。」
「…せやな。想ってる奴にしか分からん痛みなんやろうからな。」
「ほな知らんふりでもしよかな。」
「お嬢は変なとこ鋭いし、たぶんバレるで。」