(二)この世界ごと愛したい
私の好き嫌いの基準はとても単純なのです。
恐らくこの場でシオンだけは身を持って経験してるので、理解してくれるだろう。
「…それで、シオンも私に用?」
「……。」
「まだ怒ってるー。イヴのことならごめん。」
「…何でハルじゃなくて、あれが兄なんですか。」
呼び方の話か。
そしてやっと口を開いて、初めに言いたいことはそれでいいのか。
「親戚なの。」
「え!?お嬢の!?」
「うん。それも結構血筋も近いと思うよ。従兄弟あたりだったかな。」
「に、似てへん…な。」
パパのお姉さんがヤハネに嫁いで、そこで子供が産まれた。その子供がイヴ。
従兄弟のお兄さんにあたるが、あんなのに似たくはない。
「…私が違うんだよ。」
家族、親戚一同それなりに血の繋がりを感じるくらいには似ている。
ただ唯一似てないのは私だけだろう。
「私の血は希少な混血だから。」
「混血?」
ヤバいヤバい。話し過ぎた。
何を言ってるんだ私。こんなこと言ったって仕方ないのに。
「だからイヴ兄様なの。」
「…へえ。通りで貴女の事情にも詳しいわけですね。」
「そう言うことですねー。」
「それで、先日の戦の件ですけど。」
それが本題ですよね。
何を言われるんでしょうか。シオンの上司である総司令さん困らせたから怒られるのかな。
「…怒る?」
「は?」
「…エゼルタからお城取っちゃったし。国の要のお二人にも迷惑掛けたし。総司令さん殺されたりしてないよね?」
「…煩いくらい元気でした。」
よ、よかったー!
変な罰とか受けてたらどうしようかと思ったー!