(二)この世界ごと愛したい
揉めに揉めながら稽古する広場へ行くと、サクが一人で素振りをしていた。
…サクを見習ってくれ。
「サク偉いねー。アキトとは大違い。」
「リンちゃん!よろしくお願いします!」
「しかも素直でいい子!」
「はい!?」
褒めちぎる私を不思議そうに見るサク。
「サク、気抜くなよ。コイツ殺す気で来る上に寝込みも襲っ…痛え!!!」
いらんことばっかり言うアキトを、鞘付きの剣で殴りました。
「アキトしつこい。」
「おまっ…本気で殴ったろ!?」
「私非力だから。か弱いから痛くないよねー?」
「マジで良い性格してんな!?」
褒め言葉として受け取りましょう。
そんなやり取りをする私達を、サクがぽかーんと口を開けて眺めている。
「なんか夫婦漫才みたいっすね。」
「……。」
「おいサク。俺が殴られたらまず止めろ?」
夫婦漫才って初めて言われた。
私詳しくないけど、そう言うものなの?漫才ってもっと面白いんじゃないの?
そしてアキトはそれをサラッと流した。
「…サクやるよー。」
「はい!」
私もとりあえず稽古に集中しよう。
剣を抜いて、とりあえず一息吐いてみる。
「っうお!?」
「はい、軸足ブレない。」
「すんません!!!」
「何回も言ったけど大丈夫だよ。遠慮しなくってもちゃんと受けきるから。」
ただ、かく言う私も。
サクと向き合うとハナちゃんがどうしてもチラついちゃって。
どうにもサクとは辿々しい稽古です。
「あー!サクくん!リンちゃーん!」
チラついたら本当にハナちゃんが少し遠くから、こちらに手を振っている。
名前の通り花が咲くように笑うハナちゃん。
その姿を見て、サクも嬉しそうに笑っている。
「ハナちゃん!」
「サクくん頑張ってー!!!」
「頑張るー!!!」
…少し、胸が苦しい。
別に私を応援してほしいとかそんなんじゃないよ?そんなんじゃないけどさ?
私もこんな風に、誰かに力を与えられるようになりたい…なんて。
「リンちゃんも!どうぞ気兼ねなく全力でやっちゃって下さーい!!!」
「っ…。」
私には持ち合わせていないその強さが。
どうにも痛く刺さる。
「うん、ハナちゃんありがとう!」