(二)この世界ごと愛したい




「…へえ。」


「ご、ごめんなさい。」


「俺はとことんラッキーだなあ?」


「いや、これはどちらかと言うとアンラッキーでは…?」




私の髪が、さらりとアキトに落ちる。


状況に取り乱してる場合じゃない。早く退かねば。




「この髪。」


「へ?」


「この角度。」


「は?」




髪と角度…?







「すげえ良い眺め。」



「っ!?」





いつものニヒルな笑みじゃない。



子供みたいな笑顔に。





…胸が鳴る音がした。






「降ります降ります!ごめんなさいっ!」




堪らず私は退避。



髪は分からんなりに分かったとしても、角度ってもっと何!?





「あー勿体ねえ。」


「行こう!稽古行こう!」


「…あいよ。」




起き上がったアキトが剣を携えて歩き出す。


私もすぐに剣を持って追い掛ける。





「リン。」


「なに?」


「下から見るお前も悪くなかった。」




今度はちゃんと、ニヒルな笑みで。


そして角度の意味を理解した私は思わず顔に熱が走る。





「邪っ!」


「それで言うとさっきのはお前が邪だったんじゃねえか。」


「だからわざとじゃないって!」


「またこんな話かよ。」




昨日と同じような問答に思わず二人で笑い合って。



私とアキトのよく分からない情の掛け合いは見事に解けていく。





「よし!今日もけちょんけちょんにする!」


「サク先行で頼む。俺は少し振ってからにする。」


「…寝てないでやっといてほしかった。」




寝る前にやることあったよね!?





「人の寝込み襲った奴がよく言う。」


「襲ってない!!」




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