(二)この世界ごと愛したい
私の知ってる記憶の中のハルが、私に嘘をつくことなんてまずない。
「貴女も知り得ない事でしたか。」
「…もうほっといてよ。」
「ほっとけなくて困ってるんですけど。」
「…そんなの知らない。」
もう誰かこの人どっかやって。
軍人さんに手貸してさっさと引き渡せばよかった!!!
「……あー嫌な予感。」
「……。」
馬の足音。
一直線でこちらに向かって来る。
…その嫌な予感に私も同感です。
「…へえ。」
「……。」
「こりゃ珍しい組み合わせだなあ。」
「……。」
絶対来ないとタカを括っていた。それにどうしてこの街にいることが分かったんだろう。
今は本当に少しでいいから一人にしてほしい。
「よお、シオン。」
「…久しぶり、アキト。」
「リンが浮かねえ顔してんのはどういう了見だ?」
「…さあ?」
どうやら二人は知り合いのようだ。
じゃあもう後は二人でどうぞ好きにお話しててほしい。
私はとりあえず立ち上がって、一人で飛んで帰ろうかと考える。
アキトここにいるから気兼ねなく城に戻れる。
一杯一杯なんです。
シオン将軍いるから気が抜けない上に、ハルの結婚話に、色々あったアキトまで現れた。
想定外が多すぎる。
「何で彼女がここに?」
「今うちで預かってる。」
「じゃあついでに泊めて。」
「ふざけんな。俺の城は宿じゃねえんだよ。」
私は隙を窺っている。
この場から逃げる隙を。
それをさせまいとするのがシオン将軍で。私は中々動けないことに腹が立ってきました。
「俺もう少しハルの結婚話詳しく知りたいんだけど。」
「リンが元気ないのって鬼人の流言が理由かあ?」
「…そうらしい。」
「リン!お前が知らねえならデマだって!大丈夫だから落ち込むな!!」