(二)この世界ごと愛したい
「……。」
「……。」
腰掛けた私を見て、シオン将軍もその場に立ち止まる。
「どうぞ?私別に軍人さんに告げ口したりしないから今のうちに逃げたら?」
「別に逃げてません。」
「追われてたじゃん。今全然シオン将軍と喋る気分じゃない。行くならさっさと行って。」
「……。」
黙り込んだシオン将軍。
残念ながらさっきの流言を聞いて、私も多少動揺してしまったのは事実で。
どうしたらいいのか分からない。
「…ハルの結婚は事実ですか?」
「…知らない。」
「そうですか。」
「…ハルのこと、ハルって呼ぶんだね。」
知らなかったな。
ハルとシオン将軍って仲良かったのかな。
そう言えばハルもシオン将軍のこと呼び捨てにしてたっけ。
「…昔戦で少し。」
「そっかー。」
「…大丈夫ですか?」
「無論だよ。」
大丈夫に決まってるじゃん。
ハルの結婚が事実でも、事実じゃなかったとしても全く問題ない。
ハルだって王族なんだし。
結婚は仕事の一環みたいなものだし。
好きな人だって、本当はいたのかもしれないし。
「…泣きそうになってません?」
「泣きません。」
私が不安に思ってるのは。
『俺の人生はリンに捧げると決めてる。だから結婚はしねえ。したいとも思わん。』
ハルが私に、嘘をついたの?
あの言葉は、嘘だったの?