(二)この世界ごと愛したい




結婚が本当なら。


相手は美女で。理由は私がいない寂しさを埋めるためらしい。




私の心はそれを否定しているのに、世間がそれを否として私の耳を刺し続ける。





「……。」


「リンそろそろ帰るぞ。」


「…アキトお金持ってる?」


「お前俺を財布だと思ってねえか?」




ついでだし。


むしゃくしゃするし。お腹すいたし。さっきの本も買いたい。





「惚れた弱みも大変そうだな。」


「シオンてめえ…。」


「でも俺としても彼女を逃したくはないのに。どうにも嫌われ過ぎてる。」


「…お前リンをどうする気だよ。」




レンタルだよ!!!


私をレンタルしようとしてるのよこの人!!!










「エゼルタに亡命してもらおうと思ってる。」




私は繋いだままのアキトの手を握る力に、無意識にさらに力が入る。




つまり、火龍の力をエゼルタが所有したいと。





「んなこと俺も流石に黙ってねえけど?」


「アキトは黙らざるを得ない。この件でより黙らない厄介なのは流言の渦中の虎だけだ。」




また私が戦の引き金になり兼ねない。


これがシオン将軍のことが嫌いな一番の理由の一部だ。



そして、ハルのことを“虎”と表現したこの人の言葉を私は聞き逃した。





「アキト大丈夫だよ。私さえ奪わせなければ問題ないから。」


「…巻き込むなって釘刺したのに。シオンがこれじゃあ、難しい話だなあ。」





私は馬鹿ではない。


薄々は気付き始めている。



でもアキトは私にそれを話すつもりはないようなので、私も何も言わない。




話してくれても話してくれなくてもどっちでもいいけど、もし機会があれば直接本人の口から聞きたいと思う。





…だから早く帰ってきてね、トキ。





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