(二)この世界ごと愛したい
意味が分からない。
シオン将軍に救ってもらうほど私は困ってない。
「各国が立ち上がり貴女を狙って攻め入ったとしても、俺なら貴女を守れる自信がある。」
「な…にを…言ってるの。」
そんなことをしてもらう義理はない。
そんなことをしてこの人になんの得がある。
「貴女を守れるのはハルじゃない。」
私は纏う炎を徐々に弱める。
降下し、そのまま地上に降り立つ。
「…離して。」
シオン将軍は言われるがまま抱えていた私をそっと降ろす。
「もうここから歩けるでしょ。私先に行くから。」
私はシオン将軍に背を向けて、すぐにもう一度飛び上がろうとしたけど。
それを阻むこの人。
…掴まれた腕が痛むほどの力で。
「離して。」
「貴女は諸刃の剣。だからハルは二年前セザールの前に散った。」
「……。」
「貴女はハルを強くすると同時に弱くする。」
私は堪らず一つ、溜め息を吐く。
「…ハルのこと一番知ってるのは私だから。そんなこと言われなくても良く分かってる。」
「アレンデールを出たのは英断です。」
「これでハル最大の弱点がなくなったからね。」
シオン将軍の言ってることは全部正しくて、正論で。
私も同感です。
だけど。
…ハルに私は守れないと言った。
さっきの言葉だけは許すことが出来ない。
「…ハルは誰にも負けない。」