(二)この世界ごと愛したい
シオン将軍は私の腕を今も尚、掴んだまま離そうともしない。
「トキのお兄さんだから。今回はこれ以上何も言わないけど。」
「……。」
「次はないから。」
もう殺気を抑えることさえしない。
私はやっぱりシオン将軍が嫌いです。
ハルが私を守れないから自分に守らせろって。
その自信だけは凄いと思えるけど。
私だって守ってもらう人は選びたい。
「また怒らせましたか。」
「事実だし、今回はいいって言ったじゃん。」
「…それでも貴女はハルを選びますよね。」
そんなの当たり前で。
なんで私はこんな至極当然のことを、この人と話さなきゃいけないんだろう。
「私は死ぬまでずっとハルに守ってほしい。」
ハルじゃないと嫌。
他の人なんて絶対嫌。
「ハルに守ってもらえないなら、私は誰にも守ってもらわなくていい。」
もちろん私もハルのために。
力及ばなくてもハルを守ってあげたい。
もう二度と、ハルがいない世界を味わいたくない。
「貴女の副将さんは?」
「…るうは私を守ってくれる人じゃないよ。」
るうはどう思ってるか知らないけど。
「るうは私と一緒に戦ってくれる人だから。」
「なるほど。」
「私はめちゃくちゃ腹立たしかったけど。知りたい答えは知れたかなー?」
「…微妙です。」
こんなにムカついたのに微妙なのか。
もう本当にこの人と一緒にいるのも嫌なんですけど。
「いつまでいるの?」
「エゼルタからも召集がかかってるので大体二、三日ですね。」
「うわ、長。」
「貴女は?」
「あと半月くらい。」