(二)この世界ごと愛したい



軽く答えた私に、質問したはずのトキが簡単に話しちゃダメだとまた叱る。


トキが聞いたのに!?




「これ話しちゃマズイの?」


「他国の政権事情なんて極秘中の極秘だよ。軽はずみに聞いた俺も俺だけど。」


「じゃあ今のなしで。」


「もう聞いちゃったって。」




そっか。


ここセザールだった。



あ、エゼルタの人もいるんだっけ。そう思ってシオン将軍を見る。




「…何か?」


「お兄さんも内緒にしててね。」


「貴女が言うならそうしますけど。」




私とシオン将軍が軽く会話したことに、またトキが疑問を抱えたようで。




「何でシオンはリンに敬語なの?」


「言われてみれば確かに。たまに混ざってるけどねー。」


「俺シオンが敬語で話すのあんまり聞かない。」


「そう言えば私の名前も呼ばないよねー。呼ばなくてもいいんだけど。」




私も、トキさえも知らないその事情。


シオン将軍はチクチクと棘のある私の言い回しを気にしつつ、その理由を話してくれた。





「アレンデールの姫である自分の名前を呼ぶ事も、軽い言動も無礼だって怒られた。」


「…誰に?」


「貴女に。」


「…お兄さん冗談キツいって。私そんなこと気にしない姫で有名だったんだよー。」




基本城の中で過ごしていた私に、確かにそんな無礼を働く人はいなかったけど。


そんなこと気にしてたら唯一無礼だったるうなんて即クビだ。




「…じゃあもういいか。」


「いや?そのままで大丈夫ですよ?」


「どっちだよ。」


「無礼が漏れてるよー。お兄さんしっかりー。」




頼むから察してくれ?


仲良くしたくないのにトキの手前、穏便に済ませなくてはならない私のこの心境を。




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