(二)この世界ごと愛したい



笑い事じゃないと。


すぐにトキに叱られた。




「悲しい恋だね。」


「報われない想いだしなあ。」




悲しい恋?報われない想い?



トキとアキトがそう言ったけど、そのどちらもハルには相応しくないと考える私。




ハルはそんなマイナス思考ではない。


それに何より、受け取った私を困らせることなんてしない。




「…今まで忘れてたけど城から出たら付けろって言われてたから、遅かれ早かれ私が気付くことも知ってたと思う。」




この事実を知った私が悩むことも、困ることもないように。そうハルの心理を読み解くとするなら。





「ハルはいつでも前向きなの。」



「前向き?」








「だからきっと、プロポーズだよ。」





将印を見つめて私は思い出す。


そこに刻まれた桜の花。




桜吹雪の舞う。


あの裏山で交わした誓い。














「…来世分のだけどね。」





そう呟いて思わず微笑む私。



来世ではちゃんとハルのお嫁さんになるね。






「嬉しそうだね?」


「嬉しいよー。私だって結婚するならハルがいいもん。」


「じゃあリンはまず今世の相手を考えてね?」


「出来ることなら今世もハルがいいなー。」




それは実際無理なので諦めますが。


諦めるも何ももう結婚は経験済みなので、正直興味もないんですが。




「鬼人のリンへの想いに圧倒されるけど、リンも相当だね。王様してるのはリンの弟だよね?三人共そんな感じなの?」


「もちろんアルも大好きだよ?でもアルはまだ小さいから、ハルもちゃんと考えて王様の代理と軍総司令兼任してて忙しそうにしてたなー。」


「鬼人が即位してもよかったんじゃない?」


「うーん。王様続けるのはアルの意志だし。それにハルはアルに押し付ける気満々だったし。なるようになるんじゃない?」




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