(二)この世界ごと愛したい
でもそうだなー。
嫌いな理由を話すのかー。
「リンは結構誰でも好きじゃん?」
「誰でもってわけじゃ…。」
「流石にシオンのこと知ってるだろうから、リンなら真っ先に喜んで仲良くなりそうな気がしたんだけど。こないだのソルの忍者将軍みたいに。」
そりゃもちろん知ってますとも。
そしてトキのこの言葉に、誰よりも鋭く目を光らせたシオン将軍。
「…ソル?」
「あー報告遅くなってごめん。うちの前線押し上げるのリンが手伝ってくれたんだ。」
「将に会わせたのか?」
「会わせたどころか仲良くなっちゃって、求婚までされてたけど。」
なんでシオン将軍が私のことを嗅ぎ回ってるのか気になったけど。聞けなかった。
それくらいシオン将軍は何か重たい顔で考えている。
「シオンはリンの情報に抜け目なくてさ。でも敵意があるわけじゃないよ。」
「さっきエゼルタに亡命しろって言われたけど。」
「えっ?」
諸々の事情を知ってしまったアキトだけが微妙な顔で、ただ沈黙を貫く。
そしてシオン将軍が考えるのをやめて私を見る。
「あの。」
「はい?」
「やっぱり俺とエゼルタに来てくれませんか?」
「絶対嫌。」
トキも流石に訳が分からず割って入る。
「シオン、リンをエゼルタにって何?」
「エゼルタでなら彼女を守れる。」
「守るって…シオンが?何から守るの?」
「…世界から。」
この場で一番の戦術に長けた人。
私でさえ見えていないモノが、この人にはきっと見えている。