(二)この世界ごと愛したい
頑張って思い出そうとしているシオン将軍。
けど、思い出すのは中々難しいようで。
「なんか我が儘言ってごめんね。無理しなくて大丈夫だよー。」
「…ハルを狙わないって分かれば一瞬で落ち着きましたね。」
「うん。でも好きではないよ。今日も街で私が軍人さん連れ出さなきゃあの場で斬ろうとしたでしょ。」
「貴女に良く似た人かと確かめたくて気が急ぎ過ぎました。」
そんなのは言い訳になりません。
「そう言えばお礼は?」
「……ありがとうございました。」
「どういたしましてー。」
私は軍人さんを守ったつもりだけど。
あの場で私が出しゃばらなければ、騒ぎは拡大して追われる立場のシオン将軍は必然的に大人数を相手にしなければならなくなっていただろうし。
お礼くらい貰ってもいいでしょう。
「…アレンデール城の最上階。その一番奥にある部屋で、昔同じようなやり取りをしました。」
「え?」
「迷い込んだ俺を衛兵から匿ったからと礼を強要された。」
その部屋は紛れもない私の部屋。
衛兵から匿った???
「本当に私?」
「…さあ?」
いつ頃だろうか。
迷い込んだとは言っても城内に入るにはお客さんとして入るしか方法はないし。
アレンデール城ってお客さん来ること少なかったんだよなー。
「ハルに見つかってすぐ追い出されましたけど。」
「ハルは大体なんでも追い出すからなー。」