(二)この世界ごと愛したい



私のカミングアウトに兄弟揃って驚き固まっている。




「あ、でも無理なら全然いいの!そもそも仲良くなれる人だなんて思ってないし!」


「全然嫌いじゃないじゃん。」


「そんなことないよ!ハルを付け狙った時点で私の中では悪です!」


「つまりリンはシオンを見て戦いを覚えたわけね。通りで読み方とか攻め方とか少し似てるとこあるわけだ。」




戦いのスタイルまで同様になってしまったけども。




それでもこの人には戦で勝てる気がしない。


それくらい至高の域にいる人だと理解してる。






「シオンよかったね。」


「……。」


「考えてみれば俺にこんなに優しいリンがシオンを気に入らないはずないよね。」




そう言ったトキが私を突然抱き上げる。




「と、トキ!?」


「俺もう間に挟まれるの疲れたから。はい、シオンあとはよろしく。」




そのまま机上を越えて、私をシオン将軍に受け渡した。


トキからシオン将軍の腕の中に渡された私は、何が起こったのか状況が分からず呆然。




そのままトキはアキト達の方に行ってしまって。


何とも言えない気まずい空気が流れます。





「…あ、降りるね。」


「…はい。」




こんな機会ないし。


もう一回ダメ元で聞いてみようかな。





「…セザール戦の時の配置なんだけどさ。なんであの時右翼厚めにしたの?」


「…いや、どの話か覚えてないです。」




シオン将軍の腕の中から抜け出した私は、ここぞとばかりに聞いてみたけど。




えー。


覚えてないのか。




「敵三万に対して一万で戦った時だよ。場所はエゼルタの国境付近。」


「…三万…国境……右翼…?」





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