(二)この世界ごと愛したい
昼食が振る舞われている広間にて。
一向に姿を見せない私を心配に思ったアキトが、私を探し部屋で発見。
発見時には既に夢の中の私。
「…飯も食わねえで何してんだよ。」
今日誰よりも一番負担が大きかった私を、心から心配しているアキト。
そしてこの軍の人間でもない私がここまでやっている状況に耐え兼ねて、昼食を食べ終えたサクを再び稽古場に引っ張り出した。
「隊長もうちょっと休みません?」
「うるせえ。」
「リンちゃんは?」
「死んだように寝てる。」
だから呼ばれたのかとサクは納得して。
「じゃあもう頑張るしかないですね。」
「そういうことだなあ。」
私の想いと行動に呼応するように。
アキトとサクは二人で自主稽古を始めた。
アキトは新たな矛で稽古して、サクはその増大する力に四苦八苦しながらも喰らい付いていく。
徐々に矛の感覚をアキトは身体で掴み始め、本日の稽古の成果は目を見張る物となった。
「もう一歩も動けないっす。」
「あー暑い。」
二日酔いのお二人さん。
そんな稽古を終えた二人にハナちゃんが駆け寄る。
「サクくんお茶しないー?」
「もちろん!すぐ行くから部屋で待っててー!」
「はーい!」
軽やかな足取りで部屋へ向かうハナちゃん。
「一歩も動けねえんじゃなかったのかよ。」
「愛の力っすよ。」
「あーそうかよ。俺の矛片付けてってくれ。」
「了解っす。」
そう言ってサクがアキトの矛を持ってこの場を離れる。
ハナちゃんとただ仲良くお茶するために。疲れも忘れてしまったかのように感じさせるその足取りは、愛の力とやらで軽くなったらしい。